正義を行なう者


ゴルゴ13(103) W杯がいよいよ開幕しました。今回の開催地はサッカー王国ブラジル。W杯としては20回目の記念大会であり、ブラジルでの開催は1950年以来64年ぶりとなります。

 しかし市民の間ではW杯開催に抗議するデモが各地で頻発しました。その背景には教育・医療・公共交通機関といった公共サービスが劣悪にも関わらず、W杯に莫大な費用をかけることへの批判があったようです。またスタジアムや宿泊施設の完成が大幅に遅れた結果、ブラジル行きを断念しているサポーターも相次いでいます。

 さて報道にもあるようにブラジルの治安の悪さはつとに有名です。昼夜を問わず一人歩きは危険であり、万一強盗に出くわしたら、おとなしく金品を差し出すこと。抵抗すれば…。強盗や殺人は日常茶飯事であり、我々日本人には想像できない状況下にあります。

 今回紹介するのはそんなブラジルの治安の悪さを題材にした『正義を行なう者』です。リオ・デ・ジャネイロでストリートチルドレンを標的にした『正義を行なう者』を名乗るグループの虐殺が相次いでいました。危険予知能力を持つカタリーナは仲間の敵を討つために『正義を行なう者』を裏で操っていた黒幕の正体をつかみ殺害しようとした矢先にゴルゴ13と遭遇します。

p20140613 一時3000人とも云われたリオ・デ・ジャネイロのストリートチルドレンは市民にとってやっかいもの、関わりたくない存在でした。そしてついに1993年7月、リオ・デ・ジャネイロのカンデラリア教会の前で8人が銃殺される虐殺事件発生しました。

 この『正義を行なう者』は短編、しかもストーリー中ゴルゴ13の立ち位置も判然としないことから評価は必ずしも高いとはいえません。強いて言うとブラジル社会の実態をコンパクトに鋭く突いた作品といえます。
 (ゴルゴ13 103巻掲載)

©Juliana Coutinho