消滅海域


ゴルゴ13(158) 南シナ海で領有権を争う中国とベトナム、そしてフィリピンの間で緊張が高まっています。報道ではパラセル諸島周辺でベトナムと中国の艦船の衝突が相次いでおり、一歩間違うと軍事衝突に発展しかねない状況です。

 南シナ海は石油や天然ガスといった豊富な海洋資源を埋蔵しています。また中国にとって海軍基地のある海南島は南シナ海の深海部につながる海上交通の要衝でもあることから実効支配を強めてきた経緯があります。

 そもそも今度の事件は、中国が境界の画定していない海域で係争相手国の同意なしに石油掘削を始めたことに端を発します。つまり東シナ海で中国との間で尖閣諸島問題を抱える我が国と同様のことが、今、南シナ海で展開されているのです。

 そこで今回紹介する作品は『消滅海域』です。作品の舞台は東京都小笠原村に属する日本最南端の「沖ノ鳥島」です。現在日本は沖ノ鳥島を中心とする排他的経済水域を設定していますが、仮に島が消滅すれば日本列島の面積以上の水域を失うことになります。そこで日本政府は島をコンクリートで守り、チタン製の覆いで囲むなど、総工費50億円の設備を施しています。

 作品では、中国が尖閣諸島に艦船を出動させ、日本を釘付けにさせている間に沖ノ鳥島を消滅させようとします。消滅計画の情報を得た内閣情報調査室はゴルゴ13に計画の阻止を依頼します。依頼を受けたゴルゴ13は珊瑚礁を溶かす酸性液の流出、誘導機雷による爆破をことごとく退け、見事中国の『消滅海域計画』を撃破します。

20140513 私たちは物事が派生すると、悲しいかな一定の角度からしか見聞しません。尖閣諸島、南シナ海で起きている事案はあくまで表面的なことにすぎず、ひょっとしたらもっと複雑怪奇なことが水面下で蠢いているのでは…そんなことを考えさせられます。そして最後に記されている今回の中国の動静を予見するような一文に改めて敬服するのでした。
 (ゴルゴ13 158巻掲載)